特徴的なカメラワークとシメントリーにこだわった構図での映像という、ウェス・アンダーソン監督らしい映画となっている『ムーンライズ・キングダム』が2012年第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でプレミア上映されて、フランスでも一般公開されました。ウェス・アンダーソン監督は、かなり早いうちから注目を集めている注目株の脚本家でもあり監督です。そんなハリウッドで次回作を期待されているウェス・アンダーソン監督です。
ムーンライズ・キングダム
第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品されただけではなく、この作品はオープニング作品としても上映された話題作品です。もちろんウェス・アンダーソンは監督だけではなく、製作と脚本も手がけています。脚本には『ダージリン急行』でも共同執筆した同じ映画監督の、ロマン・コッポラも執筆に加わっています。ウェス・アンダーソンの世界観が映像から溢れているこの作品の内容をご紹介しましょう。
舞台は1960年代の小さな島
映画のタイトルになったのは、アメリカ北東部のニューイングランド沖に浮かんでいるとても小さな島のニューペンザンス島です。この小さな全長26キロメートルぐらいの島を目指すのは一組の少年と少女です。駆け落ちをする少年と少女の行動に、周りの大人たちが振り回される様子を描いています。12歳の少女なのに、化粧は大人も顔負けのバッチリしたメイク。そして男の子はタバコをふかす。いったいどのような内容で話は進むのでしょうか?!
映画のあらすじ:プロローグ
アメリカ北東部のニューイングランド沖に浮かんでいるニューペンザンス島。その小さな島のサマーズエンドという西部地区があってその地区の赤い家に住んでいるビショップという家族が暮らしています。家族の中にスージー・ピショップという12歳の少女が暮らしていますが、彼女の趣味は双眼鏡で自宅の周りを観察したり、読書をしたりすることが好きです。
彼女が辟易としているのは、ガミガミと口うるさくいろいろ言う母親、そしてとても厳格な父親。そして一日中管弦楽(青少年のための管弦楽入門)の音楽ばかりを一日中聴き続けているスージーの3人の弟ライオネル・マーレイ・ルディ達です。おまけに父親のウォルトと母親のローラの両親は、もうすでに夫婦としての関係が破綻している模様です。
ナレーターは地理にとても詳しい人物で、小さな縁のない帽子を株って赤いジャケットを着ています。このナレーターが、1965年に起きた大きな嵐が来た数日前の出来事を観客に話しかえることで映画は始まります。
あらすじ:脱走したサム
ボーイスカウトのカーキスカウトで知られているキャンプの場面へと変わります。ニューペンザンス島でのキャンプです。キャンプは”キャンプ・アイボンハー”です。ランディ・ウォード隊長は頼りなそうな隊長ですが、隊長がカーキスカウトのメンバー達の浅の様子を見て回っています。
とても考えられないほど背の高く不安定な木のてっぺんに、まぁ一応砦の様子をしている木の小屋をカーキスカウト達は立てています。そして朝食のときにウォード隊長はメンバーの一人が足りないことに気がつきます。そして足りない子のテントの中を調べると、テントの小さな穴から脱走した跡が分かりました。
脱走した12歳のカーキスカウトのメンバーの名前は、この映画の主人公のサム・シャカスキーです。サム・シャカスキーはテントの中に『辞職願』を置いてあったので、サムが行方不明になっていることを、ニューペンザンス島の警察署に届出ています。警察署とはいっても、小さな島のニューペンザンス島にある警察署なので、警察署はとても小さくて、二部屋だけの埠頭ハウスになっていて、その警察署はニューペンザンス島のたったひとりの警察官のシャープ警部が住んでいる家でもあります。
サムがいなくなったことを、早速サムの両親にシャープ警部とウォード隊長は知らせに行きますがサムの両親から「もうサムは戻ってこなくてもいい」と言う両親の言葉を聞いて、2人はとてもショックを受けます。実は、サムの本当の両親は数年前に亡くなっているため現在サムを育てているのは里親だったのです。カーキスカウトの名簿の中には、サムの両親が里親だということがかかれていなかったので、特にウォード隊長はサムを取り巻く家庭環境のことに驚きます。
サムの里親はサムがいなくなったことに、関心を示すことはありませんが、シャープ警部はもちろんサムの捜索を始めます。そしてニューペンザス島の端から橋までぜんぶを探しているうちに、ウォード隊長はまだ少年のサムが、こんな端っこまで歩いてこれるはずはないのでは?!と疑問に思うのでした。
あらすじ:2人は駆け落ち
スージーはいつものように、灯台から眺めていると母親のローラがシャープ警部と近くの境界線で会っているのをめにします。そして一本のタバコを吸っているのもしっかり見ます。スージーの母親のローラとシャープ警部は不倫をしていて、シャープ警部を不倫がばれていないかどうかをちょっと心配しています。
カーキスカウトの制服のままでサムはキャンプ用品をいっぱい詰め込んだリュックを提げて、森を通って逃走していました。サムは森の中の小道を辿って、カヌーで川を下ってそしてビショップ家の近くの小麦畑に出てきました。そしてサムが出てきた先にスージーが待っていました。
スージーが盛っているのは、6冊の本そして左利き用のハサミ、レコードプレイヤーを入れているスーツケース、それと猫を入れているバスケットです。スージーを見てサムは「見つかって追いかけられている?!」と聞くと「いいえ」とスージは答えて、サムとスージのふたりは微笑を交わします。スージーとサム。実はこのふたり12歳という幼い少年と少女ですが”駆け落ち”をしたのです。
サムとスージーのふたりが出会ったのは、昨年の夏のことです。地元の教会で催しがありました。「ノアの箱舟」の劇があり、そのクライマックスシーンで、スージーはワタリガラスの役をしていました。「ノアの箱舟」の劇をカーキスカウトの団員たちとサムは見ていました。そしてサムは女子更衣室に忍び込んで大胆にも女の子たちに話しかけていたのです。サムの大胆な女子更衣室に忍び込んだ勇敢さそしてサムの活発なおしゃべりにスージーはとても関心して、それからというものサムとスージーは1年間の間文通をしていました。文通を続けていくうちに、お互い意気投合して、遂に駆け落ちを計画したのでした。
12歳の少女スージーは家庭の中で問題を抱えているようです。スージーの両親が隠していた本のパンフレットには『問題ある若者との衝突と解決』というタイトルが付いているのを、スージーが引き出している見ても、間違いなくスージーは家庭の中で問題を抱えているのが見て取れます。そのパンフレットを見てサムは笑いますが、サムに「だから友達が出来ないのよっ!」とスージーは怒ったので、素直にサムはスージーに謝ってサムとスージーの2人は仲直りをします。
スージーが突然いなくなったので、サマーズエンドでは大騒ぎになっています。そして調べていくうちに、サムとスージーが一緒にいなくなったということがわかり、ふたりがやり取りしていた手紙も見つかったことで、2人は駆け落ちだということが判明します。スージーの母親のローラは、夫のウォルトとシャープ警部にスージーを捜索に行かせますが、この時にスージーの父親でローラの夫ウォルトは、自分の妻がシャープ警部と不倫していることに気がつくのでした。
サムが所属していたボーイスカウトのカーキスカウトでは、ウォード隊長がサムがいなくなってしまったことにすっかり自信を失ってしまっていますが、カーキスカウトの隊員たちは、サムをさがすためにレッドフォーという名前のオートバイを乗っているとても頑丈そうな男の子がリーダーになってサムを探すことを『サム・ハント』つまりサム狩りだとして、みんなで一生懸命に探します。
あらすじ:レッドフォードが見つける
『サム・ハント』でサムを探しているカーキスカウトの隊員たちですが、遂にサムとスージーを見つけ出します。カーキスカウトのメンバーに見つかったサムは、「どうせボクはカーキスカウトのタイにいて欲しくない欲しくないだろうから、逃げさせてよ」と見つけ出したカーキスカウトの隊員達に言います。サムとスージーを見つけたレッドフォードは、サムの言葉に「なるほどね~~」と同意はしますが、やっぱりここは大人に任せたほうがいいだろうということになりました。
カーキスカウトの隊員達がサムを掴もうとしましたが、スージーは思わずカッとしてしまって左利き用のハサミを持ち出してレッドフォードをハサミで刺してしまいます。スージーに刺されたレッドフォードは、肺に穴が開いてしまいました。その様子を見て思わすひとりの隊員が、パニックをおこしてしまったために、矢を放ちますがその矢のために、カーキスカウトの隊に所属している犬のスヌーピーが死んでしまいました。